Warwick MBA by Distance Learning修学日記

英国University of Warwick(ウォーリック大学)の経営大学院Warwick Business School MBA by Distance Learning コースについて、勉強の日々を綴ります。

Corporate Finance (CF)

Real Option

リアルオプションは投資決定手法の一つだ。NPVは時間価値を考慮し、将来にわたる全てのCFを考慮に入れている点でそれ以前の主流だった回収期間法などより優れているけど、実際の事業における判断のフレキシビリティを考慮に入れていないことが欠点だ。実際の事業は日々の判断の積み重ねでダイナミックに動くものだ。


その判断のフレキシビリティを投資決定に反映し、定量的に分析できるようにした投資決定手法がリアルオプションだ。フィナンシャルオプションを実物投資にも応用した手法であって、これをしっかりと身につけるには数学がびっしりと必要となるオプション理論を身につけないといけないが、概念を理解するだけなら、そんなに難しく考える必要もない。考え方はシンプルだ。

例えば、今100万円投資したら、景気状況や資源高などで、NPVはマイナスだとする。でも実際の事業においては、じやあ、今は様子を見て来年になったら投資しようとか柔軟性があるはずだ。あるいは、一年目にある程度投資して、当たりそうな目が出てきたら大きく追加投資するとか,一つの設備投資で実は代替製品にも流用できて、市況に応じて代替製品の生産に切り替えるとか、そういった判断をするのが現実の事業により則している。


この手法は資源開発などの投資決定には特に有効だ。資源価格は変動が激しく、タイミングが重要だからだ。またNPVではかるとマイナスになるものも、リアルオプションで図るとプラスになる。そこまで精緻な分析は不要でNPVNOと判断していれば儲け損ねただけで損はしないからいいじゃないか、といえるかもしれないけど、ライバル企業がその事業で成功し先を越されたら、その後の会社の立場は危うくなる。儲けられるところはやはり、しっかりととっていかねばならないのだ。競合の目を摘んでいくことが常勝の秘訣というところだろう。

 

理論的バックボーンがあるのは

オプション理論について書いてみたので、金融機関の中でだれがこういったファイナンス理論に精通しているかを書くことにした。せっかく新年度だから、金融に就職する人向けのキャリアの話と絡めて。


世間の人は、銀行員とか、証券会社に勤めている人のイメージだと、こういった小難しい理論を使って仕事しているのね、と好意的にみる人は思っているかもしれない。(ネガティブにみれば銀行員は金貸し、証券マンは株屋、としか見ていない人も多いと思うけど。。。)


しかし、実際に金融機関に勤めているからと言って皆がこういった理論を使いこなしているわけではない。ほとんどの人は、あまりよくわかっていないと思う。


では、どのような部署が理論的にしっかりしているか、というイメージでは、多分、MAアドバイザリー部とか、投資銀行部門の人間だろうという風になりがちだと思う。僕自身も昔はそう思っていた。でもこういった世間のイメージは、実はあんまり正しくない。


実は、最も理論的なバックボーンがしっかりしているのは債券ディーラーなのだ。新卒からディーラーやっていた人はみんな理論的なバックボーンがしっかりしている。逆に新卒から投資銀行部門や営業部などで働いている人は切った貼ったのやり取りはできるようになるけど、ファイナンス理論に詳しいわけでもなかったりする。なので、これから銀行員を目指す学生にお勧めの銀行員の理想的なキャリアは、ディーラーからはじめて、ロンドンかNYに勤務して(ディーラーはロンドンかNYに勤務しやすい)、それから投資銀行部門などに移るというものだ。ちなみにディーラーはディーラーでも株式ディーラーは理論よりも場の雰囲気次第だったりするので、理論はどうでもいいらしい。テクニカル分析とか、サイン馬券的なアノマリーを説明する理論?を見出して楽しんでいる感じ。それはそれで楽しそうだけど。

 

Black Scholes Model

ブラックショールズモデルはオプション価格を算定するモデルで、Fisher BlackMyron Scholesによって開発されたもので、その理論的な基礎としてRobert Mertonの理論が用いられている。このモデルによって、ScholesMertonはノーベル経済学賞を受賞した。Blackは残念ながらその前に若くして亡くなってしまったので受賞できなかったけど、生きていれば3人で受賞したと思われる。

ちなみにScholesMertonは伝説のファンド、LongTerm Capital ManagementLTCM)にも参加していた。LTCMはノーベル経済学賞の学者が運用理論を支えているとのことでさらに箔がついて、スター軍団とも呼ばれ、一時は莫大な資金を集めて大成功を収めていたが、アジア通貨危機とロシア危機で破たんしたファンドだ。この話は日経ビジネス文庫でLTCMの興亡として本になっているので興味がある人はぜひ。なかなか面白い。


LTCM
については証券アナリスト試験の際にも詳しく勉強したのだけど、それによると被たんしたからと言って、モデル自体が間違っていたというよりも、通貨危機での不安心理で投資家が資金を引き揚げたのが原因と説明されている。つまり通貨危機などもモデル上はいずれ値が戻る買い場であるということになるけど、投資家の不安心理が増長してロスカットと資金引き揚げに走ったことでファンドの資金がショートしたということだ。もしLTCMが全額自分のポケットマネーで運用していたならば破たんしていないかもしれない。

 

オプション理論

オプションとは、買うか買わないかなどを選択する権利のことだ。買う権利のことをコールオプションといい、売る権利のことをプットオプションという。例えばある株券について、3カ月後に一定の価格(行使価格)で買う権利のことをコールオプションといい、このオプションだけが取引の対象となる。上記コールオプションの場合、3カ月後に株券価格が行使価格よりも高ければ権利を行使して、行使価格で株を仕入れ、市場で売却すれば差額が利益になるというわけだ。


このオプションの値段をプレミアムという。逆に株価格が行使価格を下回っていれば、権利を行使しなければよい。この場合はプレミアムの分だけ損が出るが、リスクはプレミアムに限定される。プットオプションはこれらの逆というわけだ。特にプットオプションは保険として理解しやすい。一定期間後に、いくらで売れるかを予め下限を定めることができるという点でまさに保険だ。つまり身の回りの自動車保険などを考えてみても、行使価格は保険金、プレミアムは保険料で、プレミアム(保険料)を支払うことで、原資産(車)が壊れて、ガラクタとなった時、そのガラクタを押し付けて保険金を受け取る権利、これが保険であり、まさにプットオプションとみなせる。


このオプション取引、これだけなら単純なのだが、実際の世界ではコールとプットと現物と借入などを複雑に絡めて、取引される。組み合わせによってはリスクをゼロにして鞘を取ることも出来る。例えば、同一の行使価格のコールとプット両方買うと、これは価格の変動に対する賭けとなる。上下どちらに動こうと変動が大きくなるとオプションを行使して利益が得ることができるとことになるわけだ。

 

CF4回目のライブセッション

CFの前回のライブセッションの最後のほうで、システムトラブルがあったので、その補講があるということで遅ればせながら録画で参加。前回最後の5分ぐらいでトラぶっていたので、この補講は15分くらいで終わるかと思いきや、みっちり1時間45分もやった。単に授業時間が足りなかっただけではないか。。。


テーマはCAPM in Depthということで、CAPMはさらっと切り抜けようと思えば、Rf+β(Rm-Rf)という式だけで終わってしまうのだけど、ノーベル経済学賞を取るような理論だから、深く勉強しようと思えば、いくらでも講義の内容はあるということだろう。


内容は、Capital Market LineからSecurity Market line (SML)などの考え方について。SMLでは、βでのみリスクを図るので、すべての個別銘柄はこの直線状にあることになる。ここらへんは難しいところだ。証券アナリストのテキストを復習しようかな。

あとは、Debt BetaとかCost of debtについて。ここらへんも普段は負債総額と利払い費用で簡単に計算してしまうのだけど、正確には、Cost of debtをちゃんと計算したほうがいいということなんだけど、ここらへんも復習が必要。


CF
は日本語のテキストが家にいっぱいあるからそれで復習するか。。。

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