リアルオプションは投資決定手法の一つだ。NPVは時間価値を考慮し、将来にわたる全てのCFを考慮に入れている点でそれ以前の主流だった回収期間法などより優れているけど、実際の事業における判断のフレキシビリティを考慮に入れていないことが欠点だ。実際の事業は日々の判断の積み重ねでダイナミックに動くものだ。
その判断のフレキシビリティを投資決定に反映し、定量的に分析できるようにした投資決定手法がリアルオプションだ。フィナンシャルオプションを実物投資にも応用した手法であって、これをしっかりと身につけるには数学がびっしりと必要となるオプション理論を身につけないといけないが、概念を理解するだけなら、そんなに難しく考える必要もない。考え方はシンプルだ。
例えば、今100万円投資したら、景気状況や資源高などで、NPVはマイナスだとする。でも実際の事業においては、じやあ、今は様子を見て来年になったら投資しようとか柔軟性があるはずだ。あるいは、一年目にある程度投資して、当たりそうな目が出てきたら大きく追加投資するとか,一つの設備投資で実は代替製品にも流用できて、市況に応じて代替製品の生産に切り替えるとか、そういった判断をするのが現実の事業により則している。
この手法は資源開発などの投資決定には特に有効だ。資源価格は変動が激しく、タイミングが重要だからだ。またNPVではかるとマイナスになるものも、リアルオプションで図るとプラスになる。そこまで精緻な分析は不要でNPVでNOと判断していれば儲け損ねただけで損はしないからいいじゃないか、といえるかもしれないけど、ライバル企業がその事業で成功し先を越されたら、その後の会社の立場は危うくなる。儲けられるところはやはり、しっかりととっていかねばならないのだ。競合の目を摘んでいくことが常勝の秘訣というところだろう。