今年教養として学びたいことに心理学をあげてみたことだし、早速何か読んでみようということで、Kindleで半額セールをやっていたこともあって、ネットの一部で話題の「ぼくは愛を証明しようと思う。」を読んでみた。心理学勉強するって言って読む本がそれかよ、という突っ込みはあるだろうけど、こういう本は、勉強のとっかかりという点で馬鹿にならないものだ。会計をゼロから勉強したいなら「さおだけ屋はなぜ潰れないのか」をまず、読んでみるって言うのもいいと思うし、簡単な興味を引く話題から入るのはいいことだ。


恋愛とかって人間の本質に関連するものだし、心理学の観点でも重要なポイントではないかとも思う。実際、大学時代の友人で、キャバクラの経済学って本読んで、面白いと言っていた友人が、その後マネジメントの勉強に目覚めてボストンコンサルティング入って活躍していたし。

入口は読みやすいものから入ろう。そして、そこから引用している心理学の学者の本やセオリーを広く深く学んでいくわけだ。実際この本でもラポールとか、そういう専門用語が出てくる。そこからさらに本格的に学ぶのが大事。


で、内容としては、全体を通したコンセプトはヒットレシオ×試行回数というもので、これはビジネスにおきかえるとROA=利益率×回転率みたいなもので、後はそれぞれをどのように上げていくかを考えるってことだ。まあ、僕愛のほうは確率論なので若干違うけど、ともかく、後はヒットレシオを少しでも上げるためのツールが紹介されている感じ。このツール自体は特段目新しいものはない。個別のアイディアの豊富さには恐れ入るけど。ディスって落としてから上げるとかは、自己啓発セミナーとかでもおなじみのやくざ手法だし、相手のサインにしっかり気付けって言うのも心理学ではよく聞く。やっぱり心理学の入門編としても面白い。


ということで本の言っていることに違和感はないのだけど、ただ、ここで問題になるのは、如何に実行力をつけるかってことだ。街に出ていくってのも億劫になりがちだし、相手のサインに気付いても実際は3回に2回くらいは単なる勘違いだったりして、それで失敗すると自己嫌悪に陥って次にいけなくなるってパターンのほうが多い。本ではメンターがいて、命令という形で心理的な障壁を取り除いているのだけど、実際はそんな気の利いたメンターはなかなかいない。実際本の中でも「技術論は教えられるけどガッツは与えられない」というセリフも出てくる。本のテーマは、恋愛工学というだけあってテクノロジーが常に勝利するってことなのだけど、その前に、精神力が常に勝利するっていう一見テクノロジーと矛盾した前提がありそうだ。つまり幸せになりたいのなら、くよくよ落ち込んだり、自暴自棄になるのは大きな無駄ってことだ。しかし、精神力をどうやって鍛えるのか、それが難しい。藤沢数希さんには次にぜひ、精神力を鍛えるテクノロジーを解析したしてほしい。