起業戦略を語る上で避けて通れないのがリスクマネジメントだ。しかし、起業によっては、経営企画部というとエリートコースのようなイメージがある一方、リスクマネジメント部署は地味というイメージがあるということも結構ある。実際BCPって作っている会社多いと思うけど、いまいち注目を集めないし、作っている部署もなぜかおじさんがいっぱいいる部署だったりして地味なイメージが満載だったりする。でもSAで取り上げられているように、リスクマネジメントは、経営上の重要なイシューだ。
ただ、一言でリスクマネジメントといっても、実際は幅広い。これを纏めてやろうとすると、責任範囲が不明確で何を定めればいいのか分からなくなり、対応策も曖昧になってしまう。バランススコアカードでおなじみのHBSのカプラン教授がHBRに寄稿した記事によると、3つのリスクマネジメントがある。Preventable risks,Strategic risks,External risksの3つのカテゴリーだ。最初のPreventable risksは企業内部に起因するリスクで、企業不祥事とかだ。これは基本的にある程度コントロール可能だし、ルールや研修などを通じて、そもそも発生しないようにする、ということが重要になる。2つめのStrategic risksは起業が価値を上げるために取りに行くリスクで、まさに起業の存在価値に直結する。銀行でいえば、借入人のデフォルトリスクを取りに行くからこそ収益を上げられるというわけだ。だけどそのためには、他の人よりデフォルトリスクを精緻に分析できる能力がないといけない。そのための能力アップとリスク計測の精緻化を目指すべきカテゴリーになる。最後のExternal risksは自然災害、戦争、政策変更など、企業ではコントロールできないリスクだ。ここは、そのイベントの発生頻度と発生した時のインパクトの大きさ、対策費用との費用対効果を分析して、どのようにリスクを管理するか、具体的には、発生頻度が高くてインパクトが極′トなイベントは無視するとか、頻度が少ないけどインパクトがでかいイベントは、保険をかけてリスクを移転するとか、を検証することになる。
いずれにせよ、重要なことはトップの関与だ。地味なイメージが経営層にまで浸透してしまっていると、所詮対外的に説明できるアリバイが一応存在していればいいんでしょ、的な扱いになってしまう。晴れている日に如何に嵐の対策を立てられるか、ということになるので、トップの本気度が表れてしまう分野であると思う。