Warwick MBA by Distance Learning修学日記

英国University of Warwick(ウォーリック大学)の経営大学院Warwick Business School MBA by Distance Learning コースについて、勉強の日々を綴ります。

2015年10月

採用のアプローチ

MBAの勉強をしていると、よく言われるのが、不確実性の増している環境下でのビジネス判断をどう行うか、ということだ。昔のように、大量生産で同じものを量産していれば、市場が拡大して行くにあわせてモノも売れていくという時代ではないのだ。生活に必要なモノはみんなもう持っている。価値観や生活スタイルも多様化しているし、ITの急速な進歩や新興国の急成長で5年先の未来を予測することも以前よりも難しい。ではそんな時にどんな人材が望まれるのか?


ハーバードビジネスレビューの記事で、コラムになっていたのだけど、そこに面白い記事があった。3人の候補者がいて、10間の試験をしたところ、Aさんは間345895間に正解、Bさんは間125679107問正解、Cさんは問12679106問正解だったとする。誰を採用するべきか?


一見すると政界の多いBさん、Cさんの順で採用すべきかと思う。でもよく見ると、BさんとCさんの正解した問題はほとんどかぶっている。一方、Aさんの正解した問題はほとんどBさん、Cさんは正解できていない。つまり、誰もが知っていて簡単に習得できる問題に正解したBCさんより、皆が答えられない問題に正解できるAさんのほうが、正解数が少なくても価値が高いとも言えるのだ。


不確実性の時代、大切なのは、どんな状況にも対応できるように異能の才能を集めることだ。皆が知っている問題を皆で正解しても、不意の状況に対応できない。皆が知らない分野を極めよう。

新興国の差異

このWarwickMBAを勉強する前までは、僕は、日本と他の欧米企業は大分違うし、政治も社会背景も大きく異なっているというイメージが強かったのだけど、実際欧米のテキストで勉強すると、置かれている環境は、欧米も日本も結構な共通点があるなと考えさせられた。もちろん、日本の特殊性もいっぱいあるのだけど、先進国グループの中にいると、その違いばっかりに注目が言って、共通点を見逃しがちだった。一方、先進国グループの中にいて新興国をみると、今度は逆に経津港を見てひとまとめにして考えてしまいがちだ。


しかしあたりまえだけど、新興国といっても国によって中身は全く異なるものだ。これは課題のフィードバックでも指摘されたけど、改めてそう感じる。


例えばBRICsにしても共通点は、近年急速に成長していることと、人口が多いことくらいなのだけど、人口が多いと言ってもロシア・ブラジルと中国インドでは一ケタ違う。人口でいえば、年齢構成もビジネス上非常に重要だけど、それも差異がある。成長率にしてもブラジル、ロシアは時々マイナス成長に陥るのに対して、中国インドは、リーマンショックの暗もプラス成長だ。宗教とかの文化的背景も違うし、政治体制も異なる。さらに言えば、日本からの距離も全然違う。そういったそれぞれの国の個性をしっかりと捉えることが重要だ。


ちなみに、このごろは、中国はもう駄目だ、的な悲観論が多くなってきたけど、一時的に成長率が落ち込んだとしても、再び貧困国に陥るわけではない。すでに整備した社会的なインフラや教育などは借金が膨らもうが株価が下がろうがなくならないので、混乱を経てもいずれ落ち着いた成長軌道に戻るのだろうと思う。また、次はインドだって言うのもどうかなぁ。会社とかWarwickとかで中国人とインド人と触れると、どうも中国人は優秀だなって思う一方、インド人はいい加減だなあと思う場面のほうが多いんだよな。でもそのいい加減さがいいほうに作用してイノベーティブな国になるのかも。そこら辺はわからないものだ。

EU

最近ついにTPPが大筋合意に達したように、経済ブロックは、IBを学ぶ上で避けて通れない重要な論点だ。特にイギリスのMBAとしては、EUについて、後々人に語れるようにしておかないといけないだろう。そしてもちろん、日本人MBAとしてはTPPについてもしっかりと語れる必要があるだろう。


実際IBのレクチャーでもEUについては、テキストのChapterひとつかけてじっくりと解説している。EUの生立ちと歴史、それぞれの機能などだ。EUを複雑にしているのは、それぞれの機能ごとに参加国が異なる点だ。イギリスはEUの一員だけど、ユーロには参加していないし、ユーロを使用しているのにEUのメンバーでない国もある。パスポートコントロールがフリーな国とそうでない国もある。一応EUでは、単なる経済連合にとどまらない政治的な統合も目指しているので、さまざまな分野でコンバージェンスを図っているのだけど、完全に一致しているかというとそうでもない。例えば、教育分野でも、学位のレベルを統一すべく施策が打たれていて、これについてはイギリスも加盟しているものの、実際は、イギリスはかなりゴーイングマイクェイだったりする。イギリスは大学についてはプライド高そうだからなあ。


そして重要な点は、人の移動も原則域内は自由ということだ。ENVCでもキプロスの教授がWarwickに数年前から参加しましたって自己紹介していたけど、それは、まさにEUの人の移動が自由になったことで、より活発になったのだろう。学位が標準化されて人が自由に移動できるので、教授陣はヨーロッパ中の大学を兼任したり、転籍したりする。


経済ブロックによって、何が共通化されて、何が自由になるのか、そしてそれによってどういったビジネスチャンスとリスクが発生するのか、については常にアンテナを高くしてチェックしておかねばならないのだろう。

ブルーオーシャンと戦略

年初にブルーオーシャン戦略を読んで、その感想を書いたけど、SAの講義においてもやっぱりブルーオーシャンは引用されていた。マーケティングやICOMAなどの戦略系、イノベーション系の科目では必ず引用されていて、もはやポーターやコトラーと並ぶ古典であるようだ。


ブルーオーシャン戦略は一言で言うと、競争を無力化する、ということになる。一度競争が始まると、より容量を大きくとか、画像をさらにきれいにとか、より早くっていうスペックの競争になりがちだ。でもそういう状況は泥沼の競争になるだけでなく、コモディティ化が進みあっという間に単なる価格競争になる。顧客が求める真の価値は何かを一歩引いて僻略して、その価値のみにフォーカスして顧客に届けるというバリューイノベーションを目指せ、ということだ。ブルーオーシャンでよく取り上げられる例は、格安航空会社であったり、QBハウスであったり、任天堂のW註であったりする。いずれも付帯サービスで付加価値を上げようとしたり、スペック競争をしている業界で、コアのサービスに特化する戦略をとったり、違った楽しみ方を提案したりする戦略だ。それにより顧客にとっての高付加価値を低コストで実現できる。さらにそうすることで新しい顧客を生み出すことができ、そこはまさに競争のないブルーオーシャンだ、ってことになる。


この論文は比較的新しいのに一気に広まっただけあって、わかりやすく説得的だ。年初に読んでおいたのは正解だったな。後あとのモジュールでずいぶんと役に立ったものだ。

Resource based viewとポーター的戦略論

戦略論のクラスの中で教えられる2つの軸として、Resource Based ViewRBV)とinstitutional Base ViewIBV)がある。RBVは企業内部のリソースは能力に着眼することにフォーカスしている。一方、IBVは企業の置かれた外部環境、競争環境に主眼を置いていて、どちらかのいうとポーターの5F分析とか、自分の業界のポジションを確認して戦略を構築していくという戦略論に近い。


ここで重要なのは2つの視点はそれぞれに独立しているわけはなく、敵対しているわけでもないということだ。どちらも重要なのだ。この指摘は、非常に重要だ。というのも、僕がMBAで学びたかったこともポーター的な戦略論に加えて、自社を如何に強くするかという内部の能力に着目した戦略論を学びたかったからだ。なので、選択科目ではICOなどのイノベーションの科目を取ったし、企業行動論的な課目を特に重点的に取り組んできたということなのだ。きっかけは一橋大学の野中先生のナレッジマネジメントなのだけど、それ以来、自社を強くする戦略論とポーター的戦略論の融合が僕の研究テーマだった。


そういった点でこのWarwickの戦略論でRBVIBVがともに両立すべき重要な戦略論とされているのはうれしい。RBVの解説の個所では、RBVはポーター的スクールから批判を受けがちだけど、そうではないとされていた。確かに野中理論とポーター理論もよく論争になる(野中先生はポーターの理論があまり好きじゃない)的な話も聞いたこともあるし、WBSの授業で学んだこの点は非常に面白い。


ちなみにRBVのフレームワークとして、VRIOというものがある。そのリソースが、機会を開拓することができるか、希少性があって他社がまねできないものか、しっかりとそのリソースを活かせる組織になっているか、という4つの視点で分析するツールだ。これはしっかりものにして、頑張りたい。

ギャラリー
  • Warwick Week 3 帰国日
  • Warwick Week 3 三日目
  • Warwick Week 3 二日目
  • Warwick Week 3 初日
  • ENVC 5日目
  • ENVC 4日目
  • ENVC3日目
  • ENVC 2日目
  • ENVC 1日目
プロフィール

boosterbrain